ダイエッターNのつぶやき

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食事摂取基準2020へ向けての栄養基準(規約)の改定

100名程度に食事を出している老健管理栄養士です。

食事摂取基準が変わるので、施設基準を改定しなくては…!と、重い腰をあげて計算し直し、つい先日各部署の承認をもらってきました。

 

食事摂取基準2020に向けて行った業務の手順についてまとめましたのでよろしければ参考にしてください。

①年齢構成表の作成

まずは年齢構成表の作成です。

これまでの年齢区分では、男女比を出しておけば対応できたのですが、「65~74才」と「75才以上」の区分が分かれましたよね。

そのため、2019年12月1日付で入所している方の年齢構成表を作成しました。

 

②食事摂取基準2020を使った荷重平均栄養成分値の計算

年齢構成表が計算できたら、次に荷重平均を計算しました。

基本的には推定平均必要量は使用せず、推奨量を使用して計算。

栄養素ごとに使う指標(目標量とか推奨量とか)は異なりますが、食塩は目標量にして計算したり、たんぱく質は一旦推奨量で計算して置いたり…と、食事摂取基準の用語1つ1つ確認しながらの作業です。

 

基本的にはこの段階で推定平均必要量は使用しません。女性の推定平均必要量を施設基準にしてしまうと、男性の推定平均必要量を下回り、男性の多くが不足してしまう栄養素が出てきてしまうためです。

 

推定平均必要量、推奨量、目安量、目標量の用語を再チェック!

推定平均必要量、推奨量、目安量が設定されている栄養素は、「充足しなくてはならない」「不足の回避をしたい」栄養素です。

つまり、これらは「最低でも推定平均必要量を下回らない」ことが求められます。

推定平均必要量以上摂取していて推奨量を満たしていない場合でも「摂取不足の人がいる」状態になります。つまり、推定平均必要量は給食では使用しなくても良いでしょう。

 

そのため、「推奨量」を使用することが望ましいのです。

また、「目安量」が設定されているものは、目安量以上を摂取していれば不足のリスクはないと考えます。

目標量は、「無理かもしれないけれど目指して!これでも理想には届いてないから!」という量です。食塩は数字より低く摂取することが目標ですし、食物繊維は目標量より多く摂取することが目標です。そのため、目標量が設定されている場合は目標量を目指すことが望ましいです。

 

耐容上限量が設定されている栄養素は、過剰摂取を回避しなければいけない栄養素です。

給食の摂取基準を作成するときは、無視してOKと言えるでしょう…。

 

ざっくりと話すとこんな感じです。もっと正確で細かいことは教科書をみてください。業務をするだけならこれだけ知っていればOKでしょう。

ただ、委託さんもぎりぎりの予算でやってくれていますので…

現実は「まあ施設基準は推奨量で出しているから、推定平均必要量を下回ってないなら許容してあげないといけないかな…」なんてこともあります…。実地指導では推定平均必要量以上をとれていれば推奨量を満たしていない!っていうツッコミは入らないので、これはどこまで栄養士がこだわるかな部分もあったりして結構複雑。

 

③荷重平均をまるめて施設基準にする!

荷重平均が出た!そのまま施設基準にしちゃえ!とできれば良いのですが、そういうわけにはいきません。

基本的には四捨五入でもかまいませんが、それが「男性(のほうが数字が高いので)の推定平均必要量を下回っていないか」のチェックをする必要があります。

 

荷重平均が「男性(のほうが数字が高いので)の推定平均必要量を下回った」場合は男性の推定平均必要量まで上げなければ多くの男性が栄養不足になりますので、推定平均必要量まで基準をあげます。

 

たとえばビタミンB1は女性の推奨量が0.9なので、荷重平均は女性が多い施設では0.9に近くなります。しかし、男性の推定平均必要量は1.0なので、1.0に切り上げてまるめないと男性の多くが不足してしまうということが起こってしまいます。

 

今回の改定の目玉はこれ!高齢者のたんぱく質の基準を増量!

当施設の栄養基準は1600kcal、たんぱく質55gでした。

高齢者施設の目標量の加減値がエネルギー日15%になりましたので、当施設ではたんぱく質量を60gに改定!

 

ほんとは目標量(エネルギー比15%から20%)の中間で17.5%くらいを持ってきたかったのだけれど、たんぱく質70gは現実的に難しいと判断したためエネルギー比15%の60gを採用しました。

 

ちなみに、鉄、亜鉛、ビタミンDもこの改定で増量されましたが、元々確保できていましたので、こちらは改定しなくても大丈夫でした。

 

さいごに

私は何度か施設の立ち上げにかかわっているので、栄養基準の作成に携わるのはこれが初めてではないのですが、改めて1つ1つ確認しながらやってみると、とても勉強になった業務でした。

大きな病院や給食会社では、なかなかこのような仕事をすることがありませんが、1人栄養士で1人でなんでもやらないといけないけれど、なんでも変えられる…!!というような立場の栄養士さんの参考になれば嬉しいです。

1人で孤独に計算してると少し寂しいところもあったので、同僚というかちょっと後輩に話をしながら仕事をしたような間隔でまとめ、自分の備忘録として記録しておきます。

 

ただ、今も迷っていることがあります!!

一応規約は1600kcal、たんぱく質60gの設定にしたんですけど。

1500kcalたんぱく質55gでもOKの逃げ道を規約に盛り込んでいます。

そのあたりの理由は、また別記事で書きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。